【précieux 京都】#25
京都からこそ世界へ。
今だから未来を感じたいアートフェア

precieux京都

 

ARTISTS’ FAIR KYOTO 2021

2021年3月6日(土)・7日(日)
10:00-18:00

会場
●京都府京都文化博物館 別館(京都市中京区三条高倉)
●京都新聞ビル地下1階(京都市中京区烏丸通夷川上ル少将井町239)。サテライト会場有り
入場料は一般1,800円、学生1,000円、高校生以下無料(要・学生証)
京都新聞ビル 地下1階 会場のみの入場は無料


 

アートを取り巻く環境が大きく変化。
その未来のあり方が問われている今春に開催

アメリカ・カルフォルニア州のシリコンバレーで起業した友人から連絡がきて「ロックダウンが続き、世界中から優秀な人材や先端が集中した地は、有名な会社や優秀な人材の流出が止まらず深刻な事態だ、人がいなくなりすぎて家賃が35%も安くなったよ。こんな日が来るとは」ということだった。私たちは、もう1年以上もコロナ禍にいる。世の中の仕組みや価値観が大きく変わり、戸惑いと不安と、そして期待を持ちながら生きている。何が必要でなかったのか、そしてこれから何が変わらず必要なのか。モノ、ヒト、コト、自分の人生の全てを見つめ、見直すことを迫られた。その結果、生きていくのに絶対に必要なわけではないものは我慢することができる、といったライフスタイルが意外に難しくないことに気が付いた。その議論の場に真っ先にあがるのがアート、演劇などの芸能、スポーツだ。感染防止という観点からも発表や活動の場が限られ、厳しい状態が続いている。

 


京都府京都文化博物館 別館での2019年のフェアの様子。
アーティスト本人に作品について聞くことができるのも魅力

 


2019年のフェアの様子。
京都新聞ビル地下1階の会場風景

 

3月6日(土)・7日(日)に開催される京都発のアートフェア「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2021」。感染予防対策やバックアップする地元企業の状態などから、4年目の今回は厳しいのではないか、と京都では噂になっていたので、開催そのものが本当に嬉しい。このフェアは従来のアートフェアとは少し枠組みが違う。「アドバイザリーボード」と呼ばれる世界の第一線で活躍するアーティストや公募で選ばれた若手作家たち(今回は42組)が出品を許される。「Singularity of Art (シンギュラリティ オブ アート)」をテーマに、ペインティング、
テクノロジーを駆使したインスタレーションなどの表現手法の作品を作家自らが作品の傍に立ち、展示・販売する。

 

世界的に活躍するアーティストが推薦する若い才能

高瀬栞菜 「牽制し合うチーター」
(キャンパスに油彩 2020年制作)

2020年京都市立芸術大学大学院絵画専攻修了。受賞歴に京都市立芸術大学2017年度作品展同窓会賞受賞。個展に2020年ギャラリーモーニング「まひるののこりもの」(京都)。2019年「From the Youth」青春画廊千北(京都)、「京都アートラウンジ」スターバックスコーヒー京都三条大橋店(京都)ほか。日常の中のモノやコトをメモに残し、それを基盤に絵の中だからこそ許される幻影的な世界を構築し、どこか不穏でユーモラスな物語を探っている。

 

佐藤壮馬 「空のピストルケース」
(サイトスペシフィック パフォーマンス・インスタレーション、2012年制作)

2004〜2009年、青山スタジオ(東京)で撮影業務に従事。機械を通して眺める「私」、その対象である時空間・モノにまつわる事象を探求するために2010年に渡英。ロンドン大学University College Londonにて学ぶ。2014〜2020年、主として3Dスキャンを用いた作品制作を行うScanLAB Projects(ロンドン)に参加し、世界各地で様々な分野の人々と協働。2020年より北海道を拠点に活動。

 

山越美佳 「GOLD MEDAL」
(シルク、真ちゅう、2020年制作)

1985年東京都生まれ。美容師として勤務したのち、2013年渡英。
セントラル・セント・マーチンズ(ロンドン)にてファンデーションコースを修了後、ヘリット・リートフェルト・アカデミー(オランダ)ジュエリー科にてコンテンポラリージュエリーを学ぶ。
2018年に帰国し、現在は美容師として働きながら作品制作を続ける。

 

アドバイザリーボードのメンバーが凄い。京都が誇る現代美術家の名和晃平さん、2015年に開催された第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館代表として選出された塩田千春さんら17人。自ら一流と認められた才能が、若い才能を発掘してコレクターを増やすという仕組みで、将来は若手作家が世界に羽ばたく登竜門として位置付けようと京都府や地元企業が関係者が、力を入れてきた。新たな試みとしてアートによる地域再生プロジェクト「Possible Futures」、オンラインで作品を閲覧できる「ARCHI HATCH」のサービスと連動した作品のオンライン販売も。

これからの日本のアートシーンを背負う若い才能を支え、コレクターを増やしてアートを確実なビジネスにする。文化・芸術は生きていく過程で必ずしも必要ではないのか?答えは「いいえ」。どんなに厳しい時代でも、人の情熱と志、そして自分を信じる力から生まれた文化・芸術に救われることもあるはずだ。次世代はこの経験を必ず糧にしてくれるだろう。だから、こういうフェアは困難のさなかでも開催され続けることに意義があるように思う。

 

※問い合わせは ARTISTSʼ FAIR KYOTO実行委員会
TEL:075-414-4222 (10:00-17:00 /土日祝休み)
公式HP https://artists-fair.kyoto/

 


◆Writing / 澤 有紗

著述家、文化コーディネーター、QOL文化総合研究所(京都市上京区)所長。

京都、文化、芸術、美容、旅や食などなどをテーマに雑誌・企業媒体誌などの編集・執筆を担当するほか、エッセイなどを寄稿。テレビ番組や出版のコーディネート、国内外の企業の京都、滋賀のアテンドも担当。万博の日本館にて「抗加齢と日本食」をテーマに食部門をプロデュースするなど、国内外での文化催事も手掛ける。コンテンツを軸に日本の職人の技や日本食などの日本文化を「経済価値に変える」「維持継承する」ことを目的に、コーディネート活動を行っている。

主催イベントとして、日本文化を考える「Feel ! 日本 -日本を感じよう-」と、自分を見つめ直しQOLを高める「Feel ! 自分-QOL Terakoya Movement ? 」を定期開催。
https://www.qol-777.com

 

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